どちらを先に受けるべき? 意味ある資格の選び方とは
これ、知りたかったんよね~


ぼくは両方取っているから、ちゃんと比較して実感を込めて言えることをお伝えします!
生成AIパスポートとは?
2024年2月に新たに始まったばかりの「生成AIパスポート」。
生成AIの基礎知識を証明できる資格として、ビジネスパーソンや学生の間で注目されつつあります。
私は昨年受験し、合格しました。
この試験は、ChatGPTやStable Diffusionなどの生成AIの仕組み、活用方法、倫理的留意点などを扱います。
ただ、各種アプリの使い方や特徴などには触れません。
なぜなら、それをしだすと日進月歩の生成AI業過において、きりがないからです。
そこは自分がどの分野でAIを使いたいかによって決める話だといえるでしょう。
時間は60分なのでG検定に比べて短く、問題の難易度も比較的やさしめ。
ただし、表面的な用語暗記だけでは太刀打ちできない設問も含まれており、一定の理解が求められます。
「とりあえず生成AIの何か資格がほしい」「今後いろいろ使うために、まずは生成AIの基礎を知りたい」「G検定難しそうだから、こっちにしようかな」、ぼくの周りでも、そんな動機で受験する方が多いように思います。
G検定との違いとは?重なる範囲とレベル感
ぼくは2023年に「G検定」(主催:日本ディープラーニング協会)も取得しています。
両者を比較してみると、カバー範囲に明確な関係があります。

たとえるなら、G検定の扱う知識量を「10」としたとき、生成AIパスポートはその中の「4〜6」程度のイメージだね
へえ、そうなんだ

生成AIパスポートは「生成AI」領域に絞った知識を問いますが、G検定は「機械学習」「ディープラーニング」なども含めたより広範なAIの全体像を対象としています。
また、試験形式にも大きな違いがありますね。
G検定は約200問を2時間で解く高密度な試験で、単純に情報処理能力が問われる側面があります。
一方、生成AIパスポートは問題数も少なく、初学者でも時間に余裕を持って取り組める内容です。
ある程度試験慣れしている人は、40分くらいで終わって、見直しをする感じになりますね。
G検定を先に取っているなどして頭の中で知識がある程度熟しており、処理が速い人は、見直しまで2回やって40分もかからないくらいで終わると思います(ぼくはそうでした)。
どちらを先に取るべきか? おすすめの順番と狙い方
では、両方受ける場合、どちらを先に受けるべきでしょうか。

結論として、あなたの「学び方」「目的」「現在地」によって選び方は変わると思っています
- AI初心者で、まず全体像を掴みたい人には、「生成AIパスポート→G検定」の順番がおすすめ。
短期間で要点を押さえたあとに、深く広く学ぶことができます。
とにかく1つだけとって、あとは実際に触って仕事したいというだけの方は、究極はどちらでもよく、当面は生成AIパスポートだけで十分です。
また、仕事依頼サイト大手のLancersでは、生成AIパスポートの主催団体GUGAと提携し、資格を取得したLancers登録者に独自の「生成AIパスポート」認証バッジを付与しています(※1)。
言い換えれば、AI案件を引き受けたいと思っている人にとっては、Lancersのサイトでは自分が最低限のAIスキルがあることをバッジによって一目で証明できるので、これを目的に取得された方がぼくのまわりにもわりといます。
(※1)「認証バッジ」とは:専門性がある方や高いスキルを持つ方など、ランサーズが定める特定のスキルを持つフリーランスに付与され、フリーランスマッチングプラットフォーム「Lancers」のプロフィールに表示されます。スキルや信用の可視化により新たな仕事獲得に繋がります。(引用:PRTIMES)
- 体系的にガッツリ学びたい人や、ITやAIに慣れている人には、G検定から始めて、その後、半年か1年くらいたって、教材が刷新された生成AIパスポートを「復習」や「整理」として受けるのも有効です。
忘れかけた記憶を取り戻すのに、G検定ほど負荷がかからないので、ちょうどよいです。
そういう人にとっては、10~15時間ぐらいですかね。
とにかく2つともとりたいだけで、G検定直後に生成AIパスポート受けるなら、1時間くらい復習すればOKです。
DX推進パスポート制度が視野に
また、大事な話として、「DX推進パスポート(IPA)」という制度を活用したい人はご注目ください。
これは、「G検定・ITパスポート・DS検定」の3つをそろえることで、「統合オープンバッジ」がもらえる制度です(取った資格の種類と数に応じて、レベル1、レベル2もバッジも付与されます。ただしレベル3は3つフルコンプが条件です)。
いずれフルコンプを狙うならば、G検定は取得必須の資格といえます。
なので、たとえばITパスポートを持っていて、次にG検定を取ったら、あとはDS検定を取るだけで「DX推進パスポート」のオープンバッジがもらえるんだと思ったら、G検定のほうが、「箔付けの伸びしろ」はあるわけですね。
IPAは経済産業省の管轄するIT国家資格の実施団体で、「DX推進パスポート」はいわば「お国のお墨付きを受けたDX推進人材」なわけです。
DXがSocerty5.0への推進力となっている昨今では、社内では非常に大きなアドバンテージになります。
なぜなら、3つそろわないと最高位のレベル3は取れないので、きょう明日ですぐ追いつけるものではないからです。
黙って順番に取り、揃ったらアピールしましょう。
「私はそこまではいらないよ」という方は考えなくてもよい点ですが、見過ごせない方もいると思いますので、お伝えしておきますね。
実務で資格はどう活きるか? "知っている"と"使える"の差
ぼく自身、生成AIは日常的に使い倒しています。
ChatGPT、Claude、Copilot、Gemini、notebookLMなどを駆使し、時短・構造化・アイデア創出・プログラミングなどに活用しています。
資格はあくまで「補助線」であって、最大の価値は「日々の試行錯誤」にあります。
ただし、試行錯誤の質を高めるためには、背景知識が欠かせません。
G検定や生成AIパスポートで得た知識をベースにすると、新しいAIツールに出会ったときに、
- なぜこの機能が成り立つのか
- どんな技術が背後にあるのか
- どこまで信頼して使えるか
といった判断が早く正確になります。
これは、実務における「使いこなす力」の向上に直結します。
また、実務上では、わからないことが多いと、調べることが増え、結局、「ぼくにはできない」となりがちです。
だからこそ、これは松下幸之助がいうところの「ダム式経営」にも通じることなのですが、不可欠の知識は都度調べるのではなく、ある程度、先にまとめて理解し覚えておいてから実践に入ることで細かいつまづきが大幅に減ります。
そのうえで、それでもわからないところは都度、生成AIで調べるようにすれば理解も早く、調べる数も減り、挫折しにくくなるというわけです。
業務独占でもない、名称独占でもない(というか、ほぼその箔がない)資格を取る意味は、こうした事業や実業面での時短化・省力化に意味があると思います。
逆にそういう資格でなければ、取る意味はないとも言えます。
どう学ぶ? おすすめの勉強法とリソース
どちらの資格も独学で取得可能ですが、それぞれに向いている勉強法があります。
生成AIパスポート
- 試験公式サイトにあるテキストを読み込み、模擬問題を2~3周するのが王道。
- ChatGPTなど生成AIを実際に使いながら、「あ、このことを言ってるんだな」と照合しながら覚えると定着が早い。
- 「リスキリング講座」などは、本当に自信がない人や、生成AIだけでなく、ITの知識が乏しいと感じる人にとっては、基礎を埋める意味では本より効果的でしょう。
情報の資格を他に取っていて、Youtoubeで適当に見ていればある程度全体像がつかめて理解できる人には必要ないでしょう。
G検定 - 書籍『徹底攻略 G検定 ジェネラリスト検定問題集』が定番。
- 試験範囲が広いため、早めのスケジューリングが肝要。
- スマホアプリやYouTube講義も併用すると、通勤時間なども有効活用できる。
ポイントは、「資格勉強と実際のAI活用を同時並行で行う」ことです。
知識と実践がリンクすると、暗記が理解に変わります。
ちなみにG検定は自宅で受けるため、手元にテキスト置こうが、ネットで調べようが自由です。
え? じゃあ余裕じゃん!


ぐふふ、そう思うだろう?
そこでタカをくくると確実に打ち果てるよ
試験のコツと勉強時間
実際の試験の受け方(やった人じゃないと分からないコツ)
G検定はかなりの程度、覚えていないと、そもそも2時間で200問をこなせない(現在は量が減って180弱?)。
なので、解くのに必死で、しかも文章題もちょいちょい連発するので、いよいよやばいんです。
読むのに1分以上かかるものが、制限時間をじわじわ追い詰めるのです。
結局、「試験を最後までたどり着けなかった」「なんとか最後まで終えたが、見直す時間0だった」という声も多いですよ。
現にぼくも、そうなりかけましたし。
もう一度いいですか、120分で200問弱なのです。
あなたは、本当に調べる時間があると思いますか??
個人的な意見として、調べるとしても「10問くらい」だと思ったほうがいいです(それくらいが限度)。
もっといえば、
- 心配な人は複数モニターがあるデスクトップパソコンの前にノートPCを置いて、デスクトップには時間短縮のためにGoogle Chromeの検索画面を3つ4つ立ち上げておく。
- G検定自体はノートPCで受ける。
- さらにスマホも置いておき、しゃべって調べさせる。
- この辺を器用に立ち回って、少しでも時短を狙う。

って感じです。
ちなみに生成AIパスポートも自宅で受けますが、ここまでやらなくても、G検定に比べれば問題が易しいので、そもそも、そういうことをする必要はないです
それにしても、たすく、だいぶ本気だね


受験料もったいないからな。
G検定は13200円だぞ
もう一つの隠れた要素は「受験者層の違い」
さらに、これはあくまでぼくの印象ですが、生成AIパスポートとG検定の違いの一つに、受験者層の違いが挙げられるかもしれません。
生成AIパスポートは比較的、個人の社会人が多いんかなという印象です。
一方で、G検定は学生、とくにAIや機械学習を研究している情報学研究科の学生たちも多く、企業でも社員に受けさせているところが増えています。
そもそもG検定の主催団体のJDLA(一般社団法人日本ディープラーニング協会)は、日本のAI界をリードするあの有名な、東京大学教授の松尾豊氏が理事長を務める、いわば「AI界の大本丸」です。
なので、合格率こそ(非公開ながら)60~70%ありますが、その合格率もつまるところ、「単に受験者のレベルが高いだけ」だからそうなっているのが真実ではないか、とぼくは思っています。
たとえば、先日も日経新聞(2025.4.28付)で「三菱商事、AI資格を管理職の昇格要件に 全社員必修へ」との見出しが躍りましたが、実際は、「G検定に合格しないと課長にさせない」という話のようです。
大手企業レベルの社員もこぞって受けているとなれば、「合格率は6割あるから」などと油断していられないことはわかりますよね。
まじで!? そんなことになっているん!?


大企業も明確に舵を切ったんだろうね。
すると、じきに順番に降りてくるように思うけどね。
時代は刻々と変わっていく象徴というか、
AI知らなかったら、まじで仕事できない時代になったからね
なので、そうした点から言えば、知名度と受験者層はG検定のほうが高いのかなと思います。
ただし(繰り返しになりますが)試験範囲がG検定のほうが広いので、今のあなたに必要ななのはどっちか、よく見極めてもらえればと思います。
試験の勉強時間はどれくらい?
ちなみにG検定は、AIはほとんど専門知識がなくても、IT関連の知識が、ITパスポートや、基本情報技術者などである程度ある人ならば、だいたい30時間くらいじゃないですかね。
40時間いけば、受かるだけなら受かると思います。
情報学研究科の学生さんなどであれば、テキストを見て、「だいたい知っている」という人なら、問題集2冊(通称白本・黒本)を2回しすればよく、問題を解いて出題傾向に慣れる時間が必要なだけなので、(断定はできませんが)10~15時間もあればいけるんじゃないでしょうか(※普通の人は、それでいけるんだと思ったら、痛い目に遭うんで、参考にしないでください)。
一方、本当にIT関係は知識も自身も全くない方は、やり方にもよりますが、単に通るのが目的ではなく、ちゃんとやったほうが絶対によいので、その意味で60~100時間ではないでしょうか。
ちなみにぼくは、30時間くらいでしたかね。
資格はゴールではなく、つながりの“入口”
最後にお伝えしたいのは、資格はあくまでスタート地点にすぎないということ。
最近では、オープンバッジを持つことでつながれるオンラインコミュニティも増えてきました。
生成AIパスポートであればGUGA、G検定であればCDLEなどがオフィシャルのコミュニティです。
生成AIパスポート保持者向けのイベント、G検定取得者の勉強会やSlackコミュニティなど、「資格をきっかけに広がる世界」があるのです。
このつながりは、実務で詰まったときの相談先になったり、転職・副業のきっかけになることもあります。
資格は“つながるための名刺”にもなるのです。
まとめ
生成AIパスポートとG検定は、どちらもAI時代を生きる上で「使える知性」を養うための大切な一歩。
決して「受かることだけ」を目的にせず、「どうせやるなら、この際しっかり勉強しよう」ととらえて真面目にやったほうが、後々意味が出てくると思います。
たとえば、日進月歩で生成AIの新サービスがローンチされています。
今後もその数は指数関数的に増えていくでしょう。
まさにAIの戦国時代です。
一方であなた自身も、日々の業務や実務で大忙しでしょう。
でも、AIのキャッチアップを怠ると、それがチャンスロスを生みかねません。
いつも手間をかけてやっていた作業が、パッと終わるサービスである可能性もあるからです。
でも、ゆっくり検証する時間も気持ち的な余裕もない中で、それを自分がさわる価値があるかどうか、直感的に瞬時に判断しないと追いつかないときがあるかもしれません。
そんなとき、「あ、でもこれはあの仕組みだと思うから、とりあえず関係ないかな、、」と「におい」でかぎ分けられる時があります。
あるいは、超短時間で、界隈のレビューを確認したりするときん、「苦手意識」が格段に減ります。
そういう役の立ち方もあると感じます。
究極、「オレは資格持っているよ フフン」みたいなマウントは、まったく意味がないし、それができるわけでもありません。
適切な生成AIを駆使して成果を上げている人のほうが、よっぽどキラキラ感があるでしょうから。
そういうことではなく、あくまで自分の解像度と処理能力をあげるための材料としてとらえた方が実用的です。
そして繰り返しになりますが、単なる肩書きとしてではなく、「実務に役立つ知識を得るため」「信頼できる人とつながるため」のパスポートとして活用する視点が、これからの時代には求められるのではないでしょうか。