笑顔の裏で、サクッと裏切る人間がいちばんやっかい
どんな人か(定義)
- 日常は愛想よく、人懐っこく、むしろ“いいやつ”。
- だが評価を非常に気にする性格で、
「自分が不利にならないために、他人の評価をこっそり削る」という防衛本能に従って動くタイプ。 - 周囲との関係性は保ちながらも、評価のレースでは一歩リードしようとする。
「笑顔のまま、さりげなく他人を削る」ことに罪悪感はない。

一緒に飲みに行くくらい仲良くしてたのに、
上司から「お前のこと、○○って聞いたよ」って言われて初めて、
あ、裏で削られてたんだって気づいた
うわ、その二面性キツい。
人づてで知ると余計にだよね……
しかもこっちは普通に信用してたわけだし、、

実録ストーリー|企画チームでの一幕
Cさん(=社内変面師くん)は、明るくて人当たりもよく、Slackのリアクションもマメ。
週末は一緒にBBQ行くような関係だった。
ある日、上司が「Dさんの最近の様子どう?」と聞くと、Cさんはこう答えた。
「まあ、頑張ってるとは思いますけど…少しムラがあるかもしれませんね」
その後には「でも本人もそれ気にしてるみたいで」と“フォロー風の言い添え”まで。
上司の印象はこうなる。
「頑張ってるけど安定感に欠けるDさん」--
この仕上がり、完全に“人事部ごっこ”。
本人に悪意はなくとも、影響は残る。
このタイプがやりがちな言動リスト
- 上司に聞かれた際、「事実+不安げな推測」で評価を下げる
- 仲良しムーブの裏で、無自覚な情報戦を仕掛けてくる
- 「〇〇さんも言ってた」など、主語をぼやかす傾向
- 的外れな内容でも、“それっぽく言う”ことで信ぴょう性を演出する
- 他人のミスは拾って伝えるが、自分の話は絶対しない
- その後も普通に遊びや飲みには誘ってくる
なぜそうなるのか?(背景と心理)
このタイプの人間は、
人間関係のなかに“安全な順位”を求めて動いているように見えます。
面と向かってぶつかることはないし、あからさまな攻撃もしない。
でも、評価される場面や上司との距離感では、
「自分だけが損しない位置」にいようと、風向きを読みながら動く。
その背景には、こんな心理が働いています。
都合のいい場面だけ“いい人”を演じる
→ 仲良しアピールも、必要なときだけ。
聞かれてもないのに“ちょいネガ”を挟む
→ 「がんばってるけど、ちょっとムラがあるかも」みたいな、“ついで”のコメントで印象を微調整。
自分だけ損しないように常に風向きを読む
→ 誰が得して誰が損しているか、その空気にはいつも敏感。
正面からぶつかることも、あからさまな攻撃もしない。するつもりもない。
でも自分が先に損をしたくないというタイプ。
だからこそやっかい。
あくまで“評価の風向き”を読むだけで、自分が損しない位置にいようとする。
そのため、「仲良し」の仮面をかぶったまま、じわじわと他人の評価を下げるという選択をとる。
しかも、本人にはそれが信頼関係の“裏切り”だという自覚がないことも多い。
彼らにとっては「ちょっと空気を読んでコメントしただけ」くらいの感覚。
だがその“ちょっとしたひと言”が、上司の中で「印象の種」になり、
気づかぬうちに、あなたの評価にじわじわ効いてくることがある──。
対処法
- 第一に、「仲が良い=信頼できる」ではないことを知る
- 評価される系の会話(上司との1on1など)では、自分の言動は記録化・可視化す
- こちらの情報の出し方を整理する。“誰がどの立場で話すか”を常に明確化。
➤それが雑談なのか、報告なのか。自分が見たことなのか、人から聞いたことなのか。曖昧な立場で話すほど、あとでねじ曲げられやすくなる。 - 「印象ベースの話」が出たときは、“事実ベースの確認”で中和する
➤必要なら「その話、本人にも確認取ってますか?」を淡々と返す習慣を - 告げ口を回避するには、チーム内での共有と透明性の文化づくりが重要
距離の取り方・活かし方
このタイプと関係を続けるなら、“信頼”ではなく“役割”でつながる関係に切り替えること。
たとえば:
・『非暴力コミュニケーション(NVC)』* を活用して、解釈ではなく観察に徹する
・『アンガーマネジメント』* を活かして、「モヤモヤ」を境界線の設計材料にする
・「この人にはここまで」「それ以上は渡さない」というラインを、静かに引く。
それだけで、自分の情報が“勝手に使われる”リスクを大きく減らせます。
※非暴力コミュニケーション(NVC):対立を生まないコミュニケーション手法で、「事実に基づいた観察」「感情」「ニーズ(欲求)」「具体的なリクエスト」に分解して伝える技法。主観や決めつけを排除し、信頼ベースの対話を可能にする。
※アンガーマネジメント:怒りをコントロールする心理技術で、「怒っていいこと・ダメなこと」や「怒りの裏にある期待や価値観」に目を向け、自分の感情を“判断軸”として活用する方法。
ポイント:「信頼」が通じない関係には、ルールと距離感で対応する。
まとめ
社内変面師くんのやっかいさは、”完全な敵”ではないところにあります。
関係性の中に“親しみ”が混じっているぶん、こちらも油断しやすく、気づけば陰で情報を逆手に取られて、信頼の土台がじわじわと崩れていきます。
そのくせ、あいわらず直接的な裏切りはしないために怒りづらく、「でもアイツなぁ…」というモヤモヤだけが残ります。
だからこそ必要なのは、
「この人は“仲間”ではなく“同僚”だ」と線を引き直し、“信用”ではなく“役割”でつながる判断です。
そしてもう一つ重要なのは、
「相手に悪いかも」という感情よりも、自分が利用されない距離感を大切にする、健全なリスク感覚です。
「曖昧な好意」ではなく、「明確な境界線」を持つこと。
それは冷たさではなく、自分を守るための礼儀であり、“賢い優しさ”でもあります。