七光りの無敵くん:なめくさり後輩くんの進化系
たとえば、こんな構図:
- Bくんは、社内の有力部長の息子。
- 現場の誰もが「実力不足」だと感じているのに、上層部は“若手抜擢”という建前でゴリ押し配属。
- 本人もそれをうすうす理解しているが、それ以上に、根拠のない自信+親の権威+若さという三重バリアで無敵状態。
- 困ったことに、新卒同期や社内の“忖度派”は表面上うまく付き合い、孤立もさせない。
この時、現場にいるこちらはこうなる
- 「言いづらい…」という空気に支配される
- 指摘すれば、「目をつけられた」と感じ取った親が水面下で動きかねない
- まともに接すれば接するほど自爆リスクが上がるという矛盾
こういうときの【リアルな選択肢】
1. 「本人」ではなく「プロジェクト成果」に矛先を向ける
例:「この成果が出ないのは、何が原因か?」とチーム内でファクトベースで共有
→ 具体的な問題点を“人”ではなく“仕組みやアウトプット”として可視化することで、感情の衝突を避ける。
2. 「やや外側の第三者評価」を使う
外注先、ユーザー、社内外のレビュー、匿名アンケートなど
→ 主観を排した外圧で、「彼のやり方に課題がある」ことを本人にじわじわ伝える。
3. 「本人には期待せず、周囲のフォロー網を先に固める」
Bくんへの直接介入ではなく、Bくんの周囲のキーパーソン(新派、上司、実務担当)に
「どうサポートしたら良いか」相談する形で“一種の監視と教育”を外側から組む。
4. 「先に逃げない」ための記録とログを持つ
不公平な評価や誤解を防ぐために、やりとり・判断経緯・成果物を残すクセを持つ。
→ このタイプと関わると「自分の記憶が正しいのか?」と揺さぶられやすいため、冷静さを保つ“客観ログ”が必要な防具になる。
まとめ:「本人」よりも「構造」に着目せよ
「無敵くん」は本人の性格や資質以上に、
“それを許す環境構造”や“権力との結びつき”によって「対応不能化」することがあります。
注意も届かず、成長も促せず、やがて周囲があきらめて“黙認の空気”が生まれる――
組織全体の透明性の低さ、評価の曖昧さ、育成の放任が生んだ“制度的な死角”です。
“扱いづらい人”が、“変えられない前提”として定着すると、組織の空気そのものが濁っていきます。
「だから仕組みを変えましょう」なんて、現実には簡単ではありません。
声を上げたところで、
何が起こるかといえば、
上司は見て見ぬふりをする。
同僚もやんわり距離を置いて、いつのまにか手を引く。
結局、不満を抱えているのは自分だけという構図になり、
たいていは、自分だけが傷を負う。
組織は何も変わらない。
だからこそ、大事なのは感情的にぶつかることではありません。
周囲の目線を少しずつ整え、仕組みのほうを静かに変えていく。
声を荒げずとも、“暴走できない土壌”を地道に育てていく。
個人を責めても、反発されるだけ。
仕組みに手を入れることでしか、空気は変わらない。
劇的な改革ではなくてもいい。
見過ごされていた不都合に、一つずつ仕組みでフタをしていく。
それが、現場を壊さずに、組織を守るためのいちばん現実的で、
いちばん賢いやり方ではないでしょうか。